読書記録: 『人はどう死ぬのか』

Kindle Unlimited で読んだ。終始、死なないことだけを目的にした悲惨な医療を受けずに死ぬためには、ということをひたすら主張していた内容で、何度となく「それはそう。」という感想が頭に浮かんできた。タイトルに対して個人的に期待していた内容とは異なっていた。


ネガティブ・ケイパビリティという言葉があるらしく、

「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」

と説明されている。これを死に対する正しい姿勢として紹介しているのだが、たしかに死というのは過去にわたって全人類の共通の関心事であるにも関わらず実際に経験して語ってくれる人が誰もいないので、何をしたって正しい情報を得ることはできないものだ。医者に聞いても分からない。

私は今の大SNS時代において人類に重要なのは判断を保留にする能力だと考えているのだが、それと親和性のある考え方であると言えそう。死という不確実なものに対して、なぜかどこかの誰かが真実を知っていて、なんとかしてその情報を得なければならないという強迫観念が人々に強いストレスを与えているように感じられる。